
しっかりとした土台作り
「良い設備や良い環境があっても、良いモノはできない。良い人を育てることが第一」
技術職一本だった梅田社長は、前社長の『人を大事にすること』を受け継ぎ、平成27年に社長就任した。
オーナー会社(同族経営)ではないため、従業員から次の社長を選出することになる。自分の役割は、次世代の経営者を作ることだと考えている。社員全員に、そのチャンスは平等に与えられているのだ。
社長就任の翌年、中期計画を作成。10年後のイメージを3年ごとの計画にし、経営をバトンタッチする体制を整えた。今後は社員の中から、次世代の経営者をどのように育てていくのかが課題と考えている。
また、人材の確保にも余念がない。地元採用を中心に考え、社員たちの通勤エリアは安城、刈谷、碧南、高浜、西尾、岡崎、豊田と西三河全体にわたる。
現在の社員数はシニアアルバイトや派遣を含め約150名。「仕事を振る外注先も開拓していきたい」と安定経営へ向けての目標を掲げる。
困り事ボードから改善案
社内改善には、社員たちの意見も積極的に取り入れる。おとなしい社員の意見を吸い上げるため、『困り事ボード』を導入。安全や品質などのテーマに社員たちが困り事を記入、各担当リーダーが解答し、社員で共有する仕組みだ。現在、月に30件程度の困り事が出ている。
今では困り事が改善案となり、現場を経験したからこそのアイディアが、社員たちにとって働きやすい環境を作っている。
女性社員への期待
主力製品のピラーガーニッシュ(自動車内装における天井部とボディ部をつなぐ柱の装飾)の製作は、プラスチック製の基材に布地の表皮を貼り付けるもの。よって、『細やかさと気づかい』がある女性が戦力となる。女性社員の比率は年々増加しており、期待は大きい。
「子どもができたから会社を辞めます、という社員はいない」と社長。産休・育休が当たり前の時代となり、一人ひとりに合った柔軟な対応は、戦力の維持にも直結している。通常は8時始業の工場だが、女性社員を考慮して朝8時半始業にしているのも、会社の女性活用への姿勢が伺える。
昨年は女性リーダーが誕生。リーダー意識を持った女性の管理職をこれから増やしたいと望みをかける。
今は変化のとき
中期計画は、平成29年度が2年目となる。売上に繋げるための土台作りから、「販売チャネル(経路)の拡充」に力を入れる。東海四県をエリアとした地域密着で、顧客の増加を目指す。「経営者は夢を見ないと!」と前向きに挑戦する姿勢を忘れずに、将来性のある経営を行っていく。
21歳同行記者からひとこと
明るくて気さくな梅田社長は、本当に社員一人ひとりのことを大切に思っていらっしゃるのがひしひしと伝わりました。また、穏やかで優しそうな人柄が会社の雰囲気にも比例していると思いました。社員の方たちも明るくさわやかで、仕事を楽しんでいる様子が伺えました。