
- 川崎 裕希子
- 愛知淑徳大学 文学部
【定義】
流行やトレンドを採り入れながら安価に抑えた衣服やファッション小物を、短いサイクルで世界的に大量生産・販売するファッションブランドやその業態。
【過去】
アパレル業界全体で最近20年ほどの大きな動きといえば、ファストファッションの流行だろう。1995年にGAP、1998年にはZARAの1号店が日本にオープンした。開店当初の知名度は低く、業績の伸び率も少なかった。しかし2001年に起きたユニクロのフリース革命によってファストファッション業界に旋風が巻き起こった。
さらに2008年にはH&Mが日本に上陸し、ファストファッション再燃の契機になった。
【現状】
完全にファストファッションは定着した。ファストファッションという点を活かし、効率化を図っている企業が多い。ファストファッション以外のアパレルショップは店員が積極的に接客をする姿が見られる。一方でファストファッションの店員は、自ら客に話しかけることはほとんどない。客側としては店員に話かけらない気軽さ、自由さがある。アパレルショップは接客をするものという概念を崩した形態だ。
商品については各企業の競争により質が上がり、安価なだけでは買われなくなってきている。高く見えたり着回しができたりするデザインに多くの需要がある。さらにはディズニーやサンリオなどとコラボレーションをする企業もあり、新規客層を狙っているといえよう。安価なだけでは売れなくなっている現在、いかに付加価値をつけるかが焦点になってきている。
またスマートフォンが普及し、インターネットが発達した。それにより簡単にネットショッピングが可能になったことで、韓国などの海外から輸入するブランドが身近な存在になっている。輸入ブランドは価格が安価で、日本ではあまり売られていないこともあり流行の兆しがみえる。
ファストファッション業界にとっては輸入ブランドが脅威となるだろう。
【未来】
ファストファッションに高級に見えるデザインを求める傾向はずっと続きそうだ。ある段階までは質デザインともに良くなりそうだと考える。しかしそうするためには人件費を抑え、ギリギリの状態で製造しなければならない。企業間での競争が終わらなければ、牛丼チェーンのワンオペ問題やタオル工場の技能実習生問題のような労働問題に発展する恐れがある。